キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会15周年史

キャリア形成支援施策の流れと協議会の歩み

はじめに

平成16年(2004年)3月に、キャリア・コンサルタントの養成等に関わる各機関が、それぞれの枠を超えて相互に協力し、キャリア・コンサルタントの資質の確保及びキャリア・コンサルティングの普及啓発を図ることを目的に参集して「キャリア・コンサルタント養成講座・能力評価試験実施団体連絡協議会」を設立しました。その後、平成18年(2006年)4月に「キャリア・コンサルティング協議会」(以下、「協議会」という。)に名称変更して本格的に協議会として活動を開始してから今年で15周年を迎えます。

この15年、協議会は、厚生労働省のご指導の下、キャリアコンサルタント養成等を行う会員団体をはじめ、技能検定試験及びキャリアコンサルタント試験の試験委員、技能士・キャリアコンサルタント等の関係者の皆様のご支援、ご尽力に支えられながら、キャリアコンサルティングが社会インフラとして機能し、働く人々の充実した職業生活の実現と雇用機会の拡充に寄与するために活動を行ってまいりました。具体的には、指定試験機関としてキャリアコンサルティング職種の技能検定試験の実施、登録試験機関としてキャリアコンサルタント試験の実施、指定登録機関としてキャリアコンサルタント国家資格の登録業務、キャリアコンサルタント倫理綱領の制定、技能士会や一般財団法人ACCNといった職能団体の設立支援、厚生労働省委託事業としての調査研究事業や協議会自主事業としてキャリアコンサルティングの質向上に関する講習・出版事業等です。

この15年の間には、職業能力開発促進法の改正、職業能力開発基本計画の制定(第8次・9次・10次)、キャリアコンサルタントに求められる能力要件の見直し等があり、協議会に対する役割や期待が一層大きくなったとの認識のもと、我々協議会役職員はその任務を十二分に果たすべく努力を重ねてきたところです。

この度整理することにしました協議会15周年史は、協議会運営に並々ならぬ助力を頂きました木村周先生と、花田裕元協議会会長、安藤一重同会長、山口が定期的に懇親を図る場(4人の会)において、昨年(2020年)木村先生から協議会の歴史の編纂の提案があり、その提案に皆が賛同したことから作成に取り掛かりました。協議会の設立及び活動は、国の施策とも強く連動していますので、協議会15周年史には協議会の15年間の歩みだけではなく、国のキャリア形成支援施策の流れもインターネット等で検索しながら施策の歴史として掲載することとしました。

キャリアコンサルタント制度誕生の時代背景を振り返ると、バブル崩壊後のグローバル経済により、終身雇用・年功序列賃金・企業別組合といった日本型雇用慣行が変容し、企業は競争に生き残るために人件費削減も含めたリストラに追い込まれ、労働者の処遇の見直しから非正規雇用労働者の割合も増加してきました。また、経済成長率の低下、完全失業率の増加(2000年当初には5%まで上昇)、さらに雇用システムも大きく変化してきた時代でした。このような時代背景の下、第7次職業能力開発基本計画にキャリア形成の促進のための支援システムの整備の一環としてキャリア・コンサルティングが明記され、今日に至っています。

その後も、サブプライムローン問題、リーマンブラザーズの経営破綻(リーマンショック)、東日本大震災、昨年には世界的な新型コロナウィルス感染拡大、さらにデジタルトランスフォーメーションに伴う変革など雇用を取り巻く経済・社会環境は大きく変化しています。さらに人生100年時代を迎え、職業人生の長期化・多様化が進行しています。このような経済・社会環境の激変の中で、国は変化に対応した新たなキャリア形成支援施策を策定し、令和3年(2021年)3月29日には第11次職業能力開発基本計画を公表しました。

先行き不透明感が高まる中で、働く人々が働きやすい環境の下で働きがいを感じられる社会づくりのために、キャリアコンサルティングの重要性は更に高まってくると思われます。協議会は今後も国の施策に呼応しながら社会的使命をもって業務に取り組んでまいります。これまで、私ども協議会の活動に格別のご支援・ご協力を賜った会員団体や関係者の皆様、それと協議会活動に日々努力されている役職員の皆様に感謝申し上げますとともに、協議会の活動に多大なご尽力をいただき物故された國分康孝先生(2018年)、横山哲夫先生(2019年)、川崎友嗣先生(2020年)、木村周先生(2021年)に心から哀悼の意を表します。

協議会15周年史の第2部「キャリアコンサルティング協議会の歩み」は、花田裕元協議会会長、大関義勝初代事務局長、藤田真也協議会現会長、岡村亜美事務局次長兼総務部長及び山口が共同執筆しています。執筆いただいた皆様のご尽力に感謝し、本史が今後のキャリアコンサルティングの発展に幾分でもお役に立てれば幸甚に存じます。

令和3年(2021年)6月吉日

特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会
常務理事・事務局長 山口 満

目次

第1部 キャリア・コンサルティング誕生の時代背景とキャリア形成支援施策の流れ

I.時代背景
I-1 経済・社会の状況変化
  1. 経済や働き方はどうだったのか
  2. 経済成長の変化
  3. 完全失業率、有効求人倍率の推移
I-2 変化する雇用システム
  1. 企業経営と雇用システム
  2. 労働者の意識と働き方への希望
II.キャリア形成支援施策の流れ
II-1 キャリア形成支援施策の誕生期<平成7年~11年>
  1. 「個人主導の職業能力開発の推進に向けて~自己啓発有識者会議報告書~」(平成7年12月)
  2. 第6次職業能力開発基本計画の策定(平成8年2月)
  3. 職業能力開発促進法改正(平成9年5月)
II-2 キャリア形成支援施策の確立期(I期)<平成12年度~14年度>
  1. 「今後の職業能力開発の在り方研究会報告書」(平成12年7月)
  2. 「今後の職業能力開発施策について(建議)」(平成12年12月)
  3. 職業能力開発促進法の改正(平成13年4月)
  4. 第7次職業能力開発基本計画の策定(平成13年5月)
  5. 「エンプロイアビリティの判断基準等に関する調査研究報告書」(平成13年7月)
  6. 「労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力開発及び向上を促進するために事業主が講ずる措置に関する指針」(平成13年9月)
  7. 「総合雇用対策~雇用の安定確保と新産業創出を目指して~」(平成13年9月)
  8. キャリア形成促進助成金の創設(経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律の一部の施行に伴う関係厚生労働省令の整備に関する省令)
  9. 「キャリア・コンサルティングに関する研究会報告書」(平成12~14年度)
    1. 「キャリア・コンサルティング技法等に関する調査研究報告書の概要」(平成13年5月)
    2. 「キャリア・コンサルティング実施のために必要な能力等に関する調査研究報告書」(平成14年4月)
    3. 「キャリア・コンサルタントに係る試験のあり方に関する研究会報告書」(平成14年8月)
  10. 「職業能力評価推進給付金の対象となる職業能力検定について」(平成14年11月)
  11. 「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会報告書」(平成14年7月)
II-3 キャリア形成支援施策の確立期(II期)<平成15年度~26年度>
  1. 企業内キャリア形成推進事業と導入レベルのキャリア・コンサルティング
  2. 「キャリア・コンサルタントの資質確保のあり方検討会報告書」(平成16年3月)
  3. 第8次職業能力開発基本計画の策定(平成18年7月)
  4. キャリア・コンサルタントに求められる能力要件の見直し
    1. 「キャリア・コンサルティング研究会~キャリア・コンサルティング実施のために必要な能力体系の見直し等に係る調査~報告書」(平成18年3月)
    2. 「キャリア・コンサルティング研究会報告書~標準レベルキャリア・コンサルタントの能力要件等の見直し~」(平成23年3月)
  5. 「キャリア・コンサルタント制度のあり方に関する検討会報告書~統一的なキャリア・コンサルタント制度の構築と更なる専門性向上に向けて~」(平成19年11月)
  6. 職業能力開発促進法第47条第1項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部を改正する省令(平成20年9月)
  7. 「指導レベル」キャリア・コンサルタントの認証の仕組み等(「キャリア・コンサルティング研究会 報告書」(平成21年3月))
  8. ジョブ・カード制度の創設
    1. 「ジョブ・カード構想委員会」(最終報告:平成19年12月)
    2. 「ジョブ・カード推進協議会」(平成20年3月)
    3. 「ジョブ・カード制度」の実施について(平成20年4月)
  9. キャリア健診マニュアル(平成23年3月)
  10. 第9次職業能力開発基本計画の策定(平成23年4月)
  11. キャリア支援企sa業厚生労働大臣表彰
    1. 「キャリア支援企業表彰 ~人を育て・人が育つ企業表彰~」(平成24年11月)
    2. 「グッドキャリア企業アワード」(平成28年11月)
  12. キャリアアップ助成金の創設
II-4 キャリア形成支援施策の発展期<平成27年以降>
  1. 職業能力開発促進法の改正(平成27年9月18日法律第72号)
  2. 第10次職業能力開発基本計画の策定(平成28年4月)
  3. キャリアコンサルタント登録制度と登録制度等検討会
    1. キャリアコンサルタント登録制度(平成28年4月1日施行)
    2. 「キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会」の設置(平成28年2月)
  4. セルフ・キャリアドック(平成28年4月~)
    1. 制度導入の推移
    2. 「セルフ・キャリアドック」導入の方針と展開(平成30年4月)
  5. キャリアコンサルタント能力要件の見直し
    1. 「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書」(平成30年3月)
    2. 職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法施行規則第四十八条の十七第一項第一号及び第二号に規定する講習の指定に関する省令の一部を改正する省令(平成30年厚生労働省令第100号)
  6. 人材開発助成金と専門実践教育訓練給付金
    1. 人材開発支援助成金(平成29年4月)
    2. 専門実践教育訓練給付金の対象訓練拡充(平成29年10月)と支給額拡充(平成30年1月)
  7. ジョブ・カード制度の見直し(平成27年10月、平成30年4月)
  8. キャリアコンサルタントの継続的な学びの促進に関する報告書
    1. 「キャリアコンサルタントの継続的学びの促進に関する報告書」(平成31年1月)
    2. 「キャリアコンサルタントの継続的学びの促進等に関する報告書」(令和2年4月)

参考資料:キャリア・コンサルティング研究会報告書の概要(平成12年度~平成27年度)

第2部 キャリアコンサルティング協議会の歩み

  1. 協議会の沿革(年度・体制等・主たるトピックス)
  2. 協議会の年史
    • 2003年度(平成15年度)
    • 2004年度(平成16年度)
    • 2005年度(平成17年度)
    • 2006年度(平成18年度)
    • 2007年度(平成19年度)
    • 2008年度(平成20年度)
    • 2009年度(平成21年度)
    • 2010年度(平成22年度)
    • 2011年度(平成23年度)
    • 2012年度(平成24年度)
    • 2013年度(平成25年度)
    • 2014年度(平成26年度)
    • 2015年度(平成27年度)
    • 2016年度(平成28年度)
    • 2017年度(平成29年度)
    • 2018年度(平成30年度)
    • 2019年度(平成31・令和元年度)
    • 2020年度(令和2年度)
  3. 技能検定・キャリアコンサルタント試験実施状況及びキャリアコンサルタント登録者数の推移
    1. 推移一覧
    2. 技能検定1級学科受検者数・合格者数推移(グラフ)
    3. 技能検定1級実技受検者数・合格者数推移(グラフ)
    4. 技能検定1級合格者数(グラフ)
    5. 技能検定2級学科受検者数・合格者数推移(グラフ)
    6. 技能検定2級実技受検者数・合格者数推移(グラフ)
    7. 技能検定2級合格者数(グラフ)
    8. キャリアコンサルタント試験学科受験者数・合格者数推移(グラフ)
    9. キャリアコンサルタント試験実技受験者数・合格者数推移(グラフ)
    10. キャリアコンサルタント登録者数推移(グラフ)