マンスリーコラム
『 キャリアコンサルタントにとっての成長と研鑽 』(2ヶ月連載 第1回)
「おかげさまでキャリアコンサルタント試験に合格しました。次は2級を目指して頑張ります。」
新しいキャリアコンサルタントの誕生は、社会全体にとっても喜ばしいことです。でも、喜びに水を差すつもりは全くありませんが、この言葉、どうしても気になってしまいます。
「おかげさまでキャリアコンサルタント試験に合格しました。これで自信を持って相談者の力になれます。」
できれば、こう決意してもらいたいところです。
実践や自己研鑽を積む中で上位の資格を目指すというのは、キャリアコンサルタントのあるべき姿として望ましいことではありますが、最近、国家試験に合格すること、2級技能士や1級技能士になること自体が、目標、目的になってしまっているように感じる場面に多く遭遇します。日々の実践はそっちのけで、合格のための対策ばかりを重ね、試験に挑戦する、ということも耳にします。これではいったい何のための資格なのか。
資格がなくても、キャリアコンサルティングはできますし、実際、そうしていらっしゃる方もいることは確かです。豊かな経験で立派に実務に従事されている方も少なくありません。資格があるということは、その力が認められたということ、キャリアコンサルタントと名乗ることができるということです。相談に乗らないのなら、不要な資格であるという人さえいます。
キャリアコンサルタントは、相談者と向き合い、指導者から事例指導(スーパービジョン)を受けて自分に何が不足しているのかに気づき、研修を受けて力をつけて、また相談者を迎える。この循環の中で、キャリアコンサルタントとしての適格性(人間性、知識、技能、ネットワークなど)を高めていくという成長モデルが想定されています。このサイクルの中で、熟達者として安定的にキャリアコンサルティングができるようになった人の技能を認定するのが、2級キャリアコンサルティング技能検定であって、合格するためにどうしたらいいかと考えるようなものでは、本来、ないのです。合格するために受検対策を行い、練習をして合格したからといって、自信を持って相談者の前に立つことができるのでしょうか。
今、社会には、キャリアのことで困っている人たち、キャリアコンサルタントとの出会いを待っている人たちが大勢います。せっかく資格をお持ちなのですから、そういった人たちの力になってあげてください。それでこその資格だと思いませんか。
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