キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2019年6月号

『 キャリアサポートとメンタルヘルスケア 』

私は現在,EAPサービスを行う会社のカウンセラーとして,いくつかの会社の社員とそのご家族の方を対象としたカウンセリングや研修などを行っています。仕事柄「相談はどういうことが多いの?」という質問をよく頂戴するのですが,私の経験に限って申し上げると,長く関わらせていただいている組織ほどキャリアに関するご相談が多いようです。とはいえ,多くの場合ご本人のご相談内容は漠然としていることが多く,また相談内容が途中で変わることもよくあります。自分の不安の正体がはっきりわかるほど,人の気持ちは単純ではないということなのでしょうね。

人をサポートするために必要なこと

この仕事をする上で私が心がけていることは,「集中して聴くこと」「メンタルとキャリアの両面からのしっかりしたかつ柔軟な見立てを立てること」そして「相手と周りの方の両方が,今までよりも一歩だけ楽に・幸せに・なれるようなサポートを行うこと」の3つです。これは弊社の仕事をしていただく方にも同じことをお願いしています。キャリアコンサルタントだからメンタルヘルスはよくわかないとおっしゃる方もおられますが,対象者が幸せになるためのサポートをするためにはその人の全体の姿を総合的に捉えることが肝要だと,私は考えています。

また,共感とサポートのバランスも大切です。学生時代に恩師から「頭の半分では相手に寄り添い,残りの半分で冷静に相手のサポートを考えるのがプロだ」と言われたことがあります。確かに満足できないカウンセリングをしてしまった時は,大抵このバランスが崩れていることが多いのです。プロとしての態度を維持しつづけるけることは,本当に難しいものですね。

キーワードは幸せ

キャリアチェンジでこの仕事を目指す方も多いと思いますが,私もキャリアチェンジ組で,15年前にサラリーマンから働く人のメンタルヘルス不調の予防研究を志してキャリアチェンジをしました。それ以降,キャリアとメンタルの両面において,臨床・研修さらに組織づくりのコンサルティングに関して様々な方からお仕事のお声がけをいただき,おかげさまで人と仕事にはずっと恵まれています。しかし元来目指したはずの研究は成果をあまり出せておらず,また器用貧乏で自分の専門といえる軸がわからなくて,長い間不安と焦りを感じていました。最近になって,自分の目指す支援は「働く人と組織がともに幸せになる支援」と「働く人の可能性を伸ばすための支援」だという思いに行き着きました。このことが認識できた時,自分の行っている一見バラバラの諸活動が,どれも自分の目指すゴールにつながっていると思えるようになりました。私は自分自身の気持ちに対する見立てや,キャリアデザインができていなかったようです。

この仕事は努力すればするほど,人をサポートできる範囲が広がる素敵な仕事です。反省や落ち込むことは毎日のようにありますが,それでも相談後にクライエントの明るい表情が見られた時は,幸せな気持ちになることができます。これからも人が幸せだなと感じてくれる瞬間を増やすために,コツコツと努力と目の前の活動を一つ一つ積み重ねていきたいと思っています。

安田 淑恵 (やすだ よしえ)

安田 淑恵 (やすだ よしえ)

名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程修了,キャリアコンサルタント・臨床心理士・産業カウンセラー・保育士
専門分野:産業組織学・アサーション・働く人のメンタルヘルス
現在:(株)名古屋EAPセンター代表取締役 キャリアとメンタルヘルスの両面から働く人のカウンセリングと中心としたケアとサポート,幸せな組織づくりのためにアサーションを中心とした研修やコンサルティングを行っている。

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