キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2022年5月号

キャリアコンサルティングを学び、今感じていること

私は4年前の春、キャリアコンサルタントの養成講座に通い始めました。
そこで、キャリアの心理学があることなど、この分野の存在を知ることができました。

当時の私は学卒後8年間勤めた人材アウトソーシング企業を退職し、自分のこれまでとこれからを考えた時に、何か一生できるもの、専門性を持ってそれを軸に仕事をしたいと考えていました。そんな中、ある日目にした新聞広告で養成講座開講の案内を見たのがキャリアコンサルタントとの出会いでした。

資格取得後、初めて働いた現場は精神障害者の就労支援。いきなり福祉の分野に近いところの仕事でわからないことだらけでしたし、モデル事業での支援員という役割だったので、全てが暗中模索でした。キャリアコンサルティングができることの範囲についてもよくわからない状態でしたが、やはり基本の受容と共感、関係構築があるからこそクライアントに対しての伴走支援が進むのだなということは実感できました。

その後、単発で参画していた子育て女性の復職応援事業がきっかけとなり、現在の会社へ入社。営業職として受託事業の運営と自社事業であるウェブメディアの運営、企業研修やコンサルティング支援など会社の中でも人材に関わる部署で仕事をしています。
昨年の春からは管理職という立場になり、チームで仕事をすることの難しさと楽しさの両方を感じ、一喜一憂しながら勤務しています。

この仕事を始めた当初は、将来的にキャリアコンサルタントとして独立したい気持ちが強かったのですが、今は会社組織に所属している自分だからこそ、支援の場で語れることも多いなと感じています。
例えば、以前勤めていた会社では、エリア毎、部署毎、担当毎に仕事をしている風土があり、組織で仕事をしているメリットをあまり活かせていなかったと思いますが、今は部下を持つ管理者の悩み、年代差のあるスタッフとの仕事の進め方、業務効率など組織の中で仕事を組み立てていくことの具体的なノウハウの提供など、組織だからこそ乗り越えられることの多さを知ることができました。

最近気づいたことは、自分の仕事の仕方はパラレルキャリアだったな、ということです。
数年前からスキルアップのため業務委託で始めていた個人向けのコミュニケーションセミナーでは、相談を受けるお悩みの多くが、「管理職になったばかりで伝え方や部下とのコミュニケーションに悩んでいる」「管理職とはどうあるべきかについて、会社から教えてもらってないのでわからない」など、会社員として私が実際に直面し実践的に学べていたからこそ解決策の提供ができたというケースが多いのです。また逆に、コミュニケーションセミナーで提供している内容が会社員としての仕事の中で活きるというケースも多く、企業担当者へのヒアリングの場で「もしかしてこういうことでお悩みではないですか?」という私の考えが相手に共感を得られて、その解決策をすぐにご提案でき、仕事の依頼が決まるという事例もとても多く経験しました。それは、提供していることがたまたま相手のニーズにあっていたということも理由の一つであると思いますが、自分が会社員の仕事だけをしていたら、提供できなかったことだとも思うのです。
例えば自己研鑽のためにプライベートで受けた研修会の内容が、自分の仕事の中で今課題となっていることのヒントになったなど、仕事としての役割と個人的な興味関心で動いたことがリンクしたという経験が、ここ最近は特に多く"リンクの威力"に驚くことが多いです。とても面白い経験であり、これから先も会社員の仕事と自分の仕事、ボランティア活動やセミナー受講など、全ての行動が自分の成長につながっていくのではないかと感じワクワクしています。

ACCNへの参加もその一つで、昨年から運営スタッフとして活動しておりますが仕事とも絡めながら、素晴らしい先輩方とご一緒することができるこの時間はとてもありがたいものです。いつも学びと気づきの場を提供いただいており、自分の仕事を学問として捉え直すきっかけになり活動のヒントをいただいております。

キャリアコンサルタントの活動は、それぞれ出身の養成講座の同期のつながりやACCNをはじめとする様々な団体への参加など、仲間と一緒に勉強の場やビジネスの場を共有することができる良さがあると思います。互いに励まし高め合いながら、楽しみながら仕事ができる環境があることは恵まれているなと思いますし、みなさんプロフェッショナルなので関係構築が抜群にお上手でとっても居心地が良いです。

キャリアコンサルタントの勉強を通じて、仲間に出会えたこと、この資格を持って社会の中で役割を担えていることに感謝しています。

今後の取り組みとしては、会社員の仕事で受託事業の企画提案を担当することが多くなりましたので、行政の取り組みの中でより有効な事業提案を行い、キャリアコンサルタントの認知向上や活躍の場を広げることの一助となれたら嬉しく思います。キャリアコンサルタントの活躍は、これからますます社会の中で求められていくと感じています。新しいウイルスの感染や戦争など不安定なことが多い世の中で、自分が少しでも役に立てるよう自己研鑽を忘れず現場感覚を大切にしながら、業務に取り組み続けて参ります。

高野 聡子(たかの さとこ)

高野 聡子(たかの さとこ)

ACCN北海道支部
2級キャリアコンサルティング技能士
国家資格キャリアコンサルタント

学卒後、複数社を経て人材アウトソーシング企業で営業、企画、従業員トレーニング、マネジメントを担当。8年務めた後退職。その後、キャリアコンサルタント資格を取得し求職者支援に従事。現在は、民間企業で行政の受託事業運営、自社事業で企業研修、採用支援、など人材に関わる事業を担当している。社内の業務として対企業や行政へのアプローチが増えてきたことから、個人活動として、在職者の対してのコミュニケーションセミナーを行なっている。働く人の環境づくりを組織と個人の両面からアプローチできるよう日々活動している。

コラムの感想等はこちらまで(協議会 編集担当)

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