マンスリーコラム
ありのままの自分を生きる ~個人が主役の時代におけるキャリアの在り方~
たどり着いたのは自分の心地よいバランス
私のキャリアのスタートは銀行。新卒で入社したその会社に4年勤め、その後、社風の180度違うリクルートへ。戸惑いながらも全力で毎日夜遅くまで働いていたのを覚えています。その後、フリーランスのキャリアカウンセラーとして独立し、契約社員と個人事業とを掛け持ち⇒子ども向けのキャリア教育事業の立ち上げ⇒NPO団体への入職⇒退職してまたフリーランスのキャリアカウンセラーとして活動開始 と、私自身、かなりキャリアを迷いながら築いてきた経緯があります。その中で結婚、出産も体験し、自分なりに「自分らしい無理のないキャリアとは何なのか?」を常に自問自答して今の形に至ります。
私は現在3歳の娘がいますが、夫はミャンマーに赴任中で2か月に1度帰ってくる程度。普段は娘と二人の生活を送っています。
フリーランスの時には自分で時間に融通をきかせて保育園の送り迎えなども行っていましたが、娘が1歳の時にNPO団体に入職。子どもができてから初めて週5日間9:00~17:00(残業するときは18:00頃まで)で働く生活となり、毎日7:00に起きてから21:00に娘を寝かしつけるまで一息つく暇もなくなりました。自由な時間を過ごすことが私のリラックス法だったのですが、それもかなわなくなり、0歳~3歳までの3年間は正に修行のような毎日。21:00に娘を寝かしつけてからの唯一の自由時間も、疲れて寝てしまっていたり、家事で終わってしまったり。自分の思うようにいかない日々にストレスが溜まり、涙を流す日もありました。それでも私が仕事を諦めなかったのは、世の中に対して自分が何かを残したいという自己実現欲求の表れだったのだと思います。
そのような中で最終的に選んだのがフリーランスという道。安定は手放すものの、自分のやりたいことを貫き、家族との時間も大切にする、という自らの想いを実現するにはぴったりの働き方。
NPO団体を辞め、またフリーランスの道に戻ると決めた時、「娘や家族との時間は大切にする。でも自分のやりたいことも絶対あきらめない。」という覚悟にも似た気持ちを抱きました。
これが私の心地よいバランスです。
自分ととことん向き合う
私がキャリア支援をしているのは、主に20代~30代の女性ですが、「出産しても仕事を続けたい」という方が非常に多いです。しかしながら、出産後の現実を本当にイメージできている人はほとんどいません。
「フルタイムで働いている場合、子どもが小さいうちは、朝起きてから夜寝るまでの間、自分の時間はほぼもてない。」「子どもと一緒なので何をするにも一人の5倍の時間がかかる。」など毎日の生活に根付いたリアルな実情をもっと多くの人に知ってもらい、今から心構えをしてもらいたいと思っています。
今は大手では産休・育休明けの社員に対して手厚い制度がある企業も増えてきましたが、まだまだ裾野は広がっていません。しかし、個人の意識の変化があれば、大きなうねりで世の中も変わっていくと私は考えます。会社が変わらないから何もできない、ということではなく、個人が意識を変え、今までとは違う自分らしい働き方、生き方を考えてみることが大切なのです。自分が「どういうキャリア・人生を歩みたいのか」「自分らしさを発揮するとは何なのか」ということを、とことん考え抜くことが必要だと思います。
個人が主役の時代が来た
リンダ・グラッドンさんの著書「WORK SHIFT」にもあるように、これからは個人のキャリアはますます多様化し、会社員でありながら週末は個人事業として好きな事をする、正社員として週2~3日の仕事を掛け持ちする、など新しい選択肢も当たり前のようになってきました。このような時代にあって、キャリアカウンセラーの在り方、役割も変わってくるのではないかと思っています。
現在、私は、「本当の自分らしさ」を発揮できるキャリアとは何なのか、ということを見つけるための支援をしています。支援の中で気づいたことは、多くの方が毎日の「やらなければならない」仕事に忙殺されて、驚くほど自分と向き合っていないということ。「自分が何を好きなのか」「何を大事にしているのか」「どういうワークライフバランスを望んでいるのか」など、具体的に見ていくと、今いる環境がベストではないことに気づく方も多いです。
支援している中で思うことは、これからは、かかりつけ医のように個人個人にマイカウンセラーがつき、一人の方の人生を長期的に支援していくスタイルも多く生まれてくるのではないかということです。個人のキャリアが多様化し、多くの方が将来に不安を抱える今だからこそ、よりキャリアカウンセラーの存在意義も高まっていると思います。
キャリアカウンセリング講座で最初に心に残った言葉、「キャリアとは仕事を通じた人生そのもの」の通り、これからは人生を通じた支援も当たり前になってくると考えています。またそのような存在でありたいとも思います。
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