キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2014年4月号

キャリア・コンサルタントの役割

キャリアに関する悩みは尽きません。仕事に就きたい、転職したいといった具体的なものから、生きがい、働きがいが感じられない、なんとなく、不安だ、満足できないといった、漠然としたものまで、それは様々です。どれが重要、重大で、どれが些末でつまらないといったことはありません。どれも働くということからすれば、大切な人生の問題です。

あるキャリア・コンサルタントのところに相談者が来ました。

「転職したいのですが。」

「わかりました。では、まず、業種、職種、年収、勤務地、その他の希望を教えてください。」こういったやり取りを、すぐにすることはありません。「転職したい」という一言から、その人のことをもっと知りたいという気持ちがわいてきます。

「どういったご事情がおありですか」

相談者に詳しく話してもらう中で、キャリア・コンサルタントもその人を理解し、相談者自身も自分の気持ちや置かれた状況を深く理解するようになります。話しているうちに、「転職しないと解決しない」と思い込んでいた悩みの本質が見えてきます。すると、その解決のためには、転職以外にも色々ありそうだと気づいてきます。悩みの本質をとらえることができれば、その解決のための道は様々です。キャリア・コンサルタントから提供される的確な情報は、その解決のためにきっと役立つはずです。

自分で思うようにいかないとき、今自分がどういう状況、どういう気持ちであるのかを整理してみると、客観的にとらえることができて、「何に悩んでいるのか」に気づけるはずです。「どうしたらいいか」の前に、「何に悩んでいるのか」「何が問題なのか」が見つかることが大切です。「何が問題なのか」がわかれば、多くの場合、「何に取り組んだらいいのか」、「何を解決したらいいのか」を考えることができます。すると、自ずとどうしたらいいかが見えてくるでしょう。

「何に悩んでいるのか」「何が問題なのか」が漠然としたまま、今の不満や不安を解決するためにどうしたらいいかばかりを考えて、堂々巡りにはまったり、安易に動き出したりしても、満足のいく解決策は見つからないことが多いのです。

そういった時には、キャリア・コンサルタントと一緒に考えてみてください。キャリア・コンサルタントは、今の不満や不安は何かをしっかりと聴き、問題は何かを一緒に考え、必要な情報を提供して、何に取り組むべきかをはっきりさせるお手伝いをします。

石崎 一記(いしざき かずき)

石崎 一記(いしざき かずき)

1958年7月埼玉県生まれ

東京成徳大学応用心理学部教授
1級キャリアコンサルティング技能士

平成14年度より23年度まで、厚生労働省キャリアコンサルティング研究会委員、同研究会各種部会座長等を歴任。
発達心理学の視点から、働く人の伴走者として幸せづくりのお手伝いをすることに取り組んでいる。What a Wonderful Worldの世界の実現がライフワーク。

コラムの感想等はこちらまで(協議会 編集担当)

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