キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2015年4月号

キャリア・コンサルタント経験交流会(東京)に参加して

キャリア・コンサルタントの皆さんこんにちは、私は技能士会関東甲信越支部所属の荻沼國明と申します。

私のキャリア・コンサルタントになった切掛けと、そして、去る3月8日(日)東京で開催された、キャリア・コンサルタント経験交流会(東京)に参加しての感想について一言お伝えしたいと思います。

先ず、私はエンジニアリング会社にて37年間勤務し、その間、総務企画部長から子会社の取締役管理部長等を歴任してきました。当時は建設業界の就業者数は平成8年の577万人をピークに平成24年には387万人(ピークボトム差▲190万人)と毎年減少の一途をたどり市場規模が縮小し続けていました。このような中で、私の勤務先においても外部企業との資本業務提携や構造変革の対応等を実施しながら環境変化に対応してきました。社内外の急激な環境変化は、社員の不安を引き起こし、中にはメンタル不調で休職する者や早期退職優遇制度を利用し転職を選ぶ者もおりました。

このような状況の中で、私は中央職業能力開発協会主催の「CADS&CADIを活用のキャリア形成"支援法セミナー」を受講し、社員のキャリア教育の必要性と企業内での具体的な進め方を学びました。そして、いくつかのキャリア関連講座を受講し資格を得て、学んだ知識を社員のキャリアデザイン研修とキャリア・コンサルティングに活かしてきました。その結果、社員研修を終えた受講者の表情に明るさが戻ってくれた当時を思い出し、当時の研修成果と、キャリア・コンサルタントとして働いた時の充実感を実感しております。

現在、私はHRMコンサルタントとして主に中高年社員の戦力化支援を主眼においた、顧問先企業での労務相談、キャリア・コンサルティング及びメンタルヘルスケア等の研修講師、また、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の高齢者雇用アドバイザーとして、都内の企業を訪問し「生涯現役の実現」に向けた事業所での雇用環境整備に関する相談・助言等を行っています。

現在私の課題は、中高年社員に対する今後のキャリア支援、キャリア・コンサルティングのあり方いついて、企業環境が変化する中での個人のキャリア開発と組織変革との統合をどのように進めるか試行を続けているところです。

さて、本題ですが今回の経験交流のテーマは、「多様化する働き方、キャリア・コンサルタントにできること」でした。

ワールドカフェスタイルで①企業・在職者、②キャリア教育、若年者、③その他領域、の3テーマに分かれ、その後4~5名の班毎討議が行われました。私は企業・在籍者のグループに参加し、私の班にはポスター発表者の一人がメンバーに加わって頂き活発な議論となりました。その中で、産業構造が変化し多様化する働き方が増える中で今後キャリア・コンサルタントの企業貢献、社内認知向上をどのように作り出すかについての議論が進みました。

参加者の意見を集約すると、キャリア・コンサルタントとして学んだ知識や経験だけでは活躍の場を広げることは難しい。そこで、参加者夫々が仕事領域にて培ってきた専門領域や得意分野での独自の活動によって、キャリア・コンサルティングに工夫を加えいることが分かりました。例えばAさんは、既に企業に根付いているQCサークル活動にキャリア・コンサルティングを付加した独自の方法を編み出し、上司や職場の仲間に認知されているとのことでした。現在では社外でも紹介し好評を得ているとのことです。

また、Bさんは、得意先である代理店販売員への販売促進活動にキャリア・コンサルティング手法を応用した独自の教育手法を編み出し実践している。その結果、代理店販売員の意欲が向上し業績アップに繋がっているとのことでした。Cさんは、顧問先企業の経営者との面談にキャリア・コンサルティングの知識・経験を活かしたことで経営者との信頼関係が密接となり、お互いオープンマインドで相談を受けている。等の紹介がありました。

このような事例から、企業内のキャリコンサルタントは、キャリア・コンサルティング理論や技法の修練に加え、先ずは身近な職場や仕事の中に学んだ知識を活かす工夫をし続けることも重要であると言えます。

企業内のキャリア・コンサルタントは、配置転換や転勤などもあり一部を除いてキャリア支援室などの専門部署でキャリア・コンサルティング業務に専念することができる方は少ないのが現状です。企業の事情や夫々の立場や状況に応じ、一工夫を加えて応用するなど地道な活動を進めることが、企業にキャリア・コンサルティングの普及を早める近道なような気がしました。

今回の経験交流会に参加したことで、いろいろな活躍のアイディアや工夫の仕方を学ぶことができました。

次回の経験交流会で、またお会いしましょう。

荻沼 國明(おぎぬま くにあき)

荻沼 國明(おぎぬま くにあき)

HRMコンサルタント
1級キャリア・コンサルティング技能士
特定社会保険労務士
産業カウンセラー

法政大学大学院 経営学研究科キャリアデザイン学専攻修了、 エンジニアリング会社の総務企画部長及び子会社の取締役管理部長を経て、現在HRMコンサルタント。

コラムの感想等はこちらまで(協議会 編集担当)

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