マンスリーコラム
NO RAIN,NO RAINBOW(雨が降るから虹が出る)
この言葉を初めて知ったのは、10年ほど前のこと。私は当時、新卒応援ハローワークで相談員として勤務していました。ご存じの方も多いと思いますが、新卒応援ハローワークとは、大学・短大・専修学校等の学生や卒業後おおむね3年以内の方が利用できるハローワークで、主に若者の就活をサポートしています。そこで、就活中の学生と面談していた時に、企業で受けた作文試験が難しかったと報告してくれた中にこの言葉がありました。作文のテーマは『NO RAIN,NO RAINBOW この言葉の意味に当てはまるあなたの経験を書いてください』。
一般的によく聞かれる質問として「学生時代に力を入れたことは何ですか?」略して「ガクチカ」とよばれるものがありますが、この作文のテーマは少しひねりが加えられています。
実際に試験を受けた学生は、戸惑いながらも、言葉の意味を自分なりに解釈して作文を書きあげてきたと話してくれました。どれだけ事前準備をしても、本番では何を聞かれるかは分からない。それでもとっさに答えた言葉の中に、キラッと光る学生の本質が伝わるのだと感じました。
改めて言葉の意味を調べると、困難な時期を乗り越えた先には、いいこと・新たな可能性が開けている、というハワイのことわざであることを知りました。困難=雨、新たな可能性=虹という例えは、なんともハワイの景色にマッチした表現で、前向きになれる言葉の力を感じました。(私はまだハワイに行ったことがないので想像の中ですが)。
そして、今年5月、この言葉を再び目にする機会がありました。アパレルショップのショーウィンドウにカラフルな虹のステッカーとともに、大きく張り出されていたのです。もちろん、新型コロナウイルス感染拡大防止策の影響でお店は休業中。それでも、道行く人へむけて「一緒にこの状況を乗りこえていこう」という想いが発信されていました。
今、私は、大学のキャリア支援センターで学生の支援を続けています。そして、この言葉の意味を就活中の学生の姿に重ね合わせています。大学も原則立ち入り禁止になり(5月中旬現在)、就活を支援する面談はオンラインに切り替わりました。画面を通して不安を口にする学生。先行きの見えない状況の中、「自分の志望業界の今後の見通しは?」「もっと、方向性を広げたほうがいいのか?」と迷いながらも、その言葉からは必死で自分の頭と心を使って考えている力強さが伝わってきます。混乱の状況の中、まさに「生きる力」を身につけ、一人ひとりが自分の納得できる道を選んでいこうとしています。
もちろん、不安が膨らんだり、周囲と比べて落ち込むこともあるでしょう。そんな時の伴走者、応援団として、学生に寄り添える役割でありたい、という想いを改めて感じています。
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