キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2020年8月号

GOALのない自己研鑽の中で思うACCNの存在意義

現在私がキャリアコンサルタントとして担っている業務は3つあります。

まずは、若年者のキャリア開発です。授業・講演・ガイダンス、さまざまな場面で携わっています。キャリア形成の流れを基本に、人生観、職業観の育成、社会での「自立と自律」を目標に実施しています。

次に、キャリア相談業務です。熊本県しごと相談・支援センターのキャリアカウンセリングコーナーを担当し、10名のキャリアコンサルタントで年間延べ800件程度の面談を行っています。「今日はどのようなご相談ですか」から始まり、相談者の状況に応じ、キャリア指向性の明確化、職業経験の棚卸、職業能力の確認、個人を取り巻く諸条件を明確にし、10代~70代、求職者、在職者問わず様々な方のご相談に対応しています。

最後に、セルフキャリアドックや職業訓練です。自発的というより、やや義務的な相談者も多く面談の中で自らの課題に気づく、内省を促すための問いかける力がためされると感じています。

どの場面でもキャリアコンサルタントは「目の前の方々の人生にかかわる専門職」です。世情を反映した相談者の方も多く、多様なそして現実的な状況に対応した相談を行っていく中では、足りない知識、情報、スキルを痛感することもあり自己研鑽は責務と考えています。

キャリアコンサルタントとしての経験が少々長くなってきますと、自己研鑽において、いつまで・・・、どこまで・・・と、そのGOALを捉えたくなることがあります。私は、キャリアコンサルタントの職責から、いつも「GOALはない」学び続けなければならない、研鑽し続けなければならないという答えにたどりついてきました。そして、振り返ってみるとそこには、常に学び続けているキャリアコンサルタントの仲間の存在がありました。

国家資格になり、その職務の継続には自己研鑽は必須とされています。「キャリアコンサルタントの継続的な学びの促進に関する報告書」で述べられているように、専門家としてのテクニカルスキルに加えて、自覚と責任、倫理といった人間的な資質の向上も重要です。義務ではなく自らの職責として、主体的なたゆまぬ努力が大切なのだと考えています。

私自身が仲間に支えられ、触発されここまで学びを続けてくることができた経験からいえることは、キャリアコンサルタント同士のネットワークを持ち、それぞれの専門性から得られる知識・情報を交換し、お互いの自己研鑽を支えあうことが大切だということです。

「キャリアコンサルタントの資質向上のため、継続した学びを支える」それがACCN(注)の存在する意義の一つだと考えています。


注:一般財団法人ACCN(オールキャリアコンサルタントネットワーク) 詳しくは本コラム一番下から

広瀬 美貴子(ひろせ みきこ)

広瀬 美貴子(ひろせ みきこ)

ACCN九州・沖縄支部副支部長
2級キャリアコンサルティング技能士
国家資格キャリアコンサルタント

看護師として20代半ば「人生の意味(人生観)、どう生きたいか、どう死んでいくか(死生観)」について考える機会を得たことと、20代従業員の多重債務の相談に携わった経験から、金銭教育・キャリア教育の必要性を感じ平成15年「自律と自立」をテーマに独立。多様化する女性のキャリア形成支援、また大学や専門学校、高等学校でのキャリア形成支援に携わりながら、県しごと相談・支援センターのキャリアカウンセリングコーナーの相談員として活動中。

コラムの感想等はこちらまで(協議会 編集担当)

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