キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2020年11月号

知恵を出し合って前に進もう ~コロナ禍のむこうに見える新しいキャリアコンサルタントのあり方を考える~

ACCNの活動も2年目の半ばを過ぎました。中国四国支部の初年度の活動は、岡山と高松でのkick offイベント、ACCNのスタートにあたり、中四国の各地域でキャリコンとして活躍している方から様々な実践の場、活躍の場があるというメッセージを熱く語っていただきました。

そして2年度目となる今年度は、その思いを形にすべく大きく分けて2つの具体的な取り組みを始めました。1つ目は、実践活動の取り組みです。岡山県の社会保険労務士会との共同ではありますが、ACCN中国四国支部として倉敷市の公立中学校29校で行われるキャリア教育を受託することとなりました。そして、もう一つが支部イベント及びセミナー、こちらも岡山、高松、高知、松江、松山、米子の各地でそれぞれの地域に在住の執行部スタッフが企画した9つのイベント・セミナーを実施することとなりました。

しかしながら、折からのコロナ禍で、この2つの計画は大きく軌道修正をすることを余儀なくされました。ここからは、アクシデントに対応して、知恵を出すことで新たな歩みにつながりつつある現状についてお話をさせていただくこととします。

1、倉敷市のキャリア教育受託

倉敷市のキャリア教育は年度当初、試行的な取り組みとして倉敷市と隣接する早島町にある29のすべての中学校の2年生全員を対象に「職場体験」とセットで行われる予定でしたが、コロナ禍で「職場体験」はすべて中止、希望する学校が、キャリア教育のみを独立した形で行うこととなりました。残念ながら、臨時休校が長く続いたため、今年度はキャリア教育の時間がとれないなどの理由で実施を見送る学校も多く、結果としてACCN中国四国支部の担当は、4校となってしまいました。当初は、支部テーブルを設け、その中で講師担当者を支部会員に幅広く募る予定でしたが、規模が縮小され、かつ準備期間もほとんどないということで、対象を岡山県在住の実践経験のある会員に絞り込むこととし、岡山での活動実績が豊富な2名の会員スタッフに支部長を加えたプロジェクトチームでその運営にあたることとしました。

予定では5月から徐々に準備を進め、9月ごろから実施に移る予定でしたが、実施方法などの具体的な方向性がなかなか決まらず、プロジェクトが動き出したのは8月下旬、そして最初のキャリア教育の実施予定は10月14日というタイトなスケジュールでの対応を余儀なくされました。しかしながら、対象校が4つに絞り込まれたことで、倉敷市も各校の要望を細かく聞くことができたので、それに合わせてチーム3名が知恵を出し合いベースとなる教材を作成することができました。実際のプログラムは、基本的にその教材を使い、そこに講師担当者が各学校の要望を聞きながら要素を加えていくというやり方で進めていくこととなりました。結果、先月14日に行われた1校目のキャリア教育は市からも学校現場からも高い評価を受け、次年度も事業の継続が決定するとともに、ACCNへの委託も引き続き行われる方向で準備を進めていただくこととなりました。

2、セミナー、イベントの実施

セミナーイベントは、当初全て対面で行われる予定でした。他の多くの支部が早々に完全オンラインに切り替えていく中、中国四国支部では基本的に「感染防止対策を徹底しての対面実施」で行うべく準備を進めることとしていました。そして年度の皮切りとなる10月25日の石﨑一記先生のセミナーは対面実施の形で5月中旬から募集を開始しました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染状況が、落ち着きを見せない状況を考え、9月に入ってオンライン実施に切り替えることとしました。合わせて、他のセミナー、イベントも原則としてオンライン実施(一部ハイブリッド実施を予定)に切り替えることとしました。しかしながら、どうしてもオンラインになじまないセミナーもあり、そうしたセミナー等については今年度の実施を断念し、次年度以降に行うこととなりました。しかしながら、ほとんどのセミナー、イベントについては、それぞれの企画を出した執行部スタッフを中心に「質を落とすことなくオンラインで実施」するべく知恵を出し合い、内容を変えることなくオンライン用のプログラムに構成を組み替えることができました。

10月25日のセミナーは、オンラインに切り替えた途端、約1週間でそれまでの4か月間の申込者と同じくらいの申込みが殺到し、オンライン実施としてもギリギリの人数での実施ということになりました。結果、講習の内容についての反応は非常に良かったのですが、急ごしらえということもあり、技術的な面で改善しなくてはいけない課題が浮き彫りになりました。こうした課題をより多くのスタッフで共有し、課題を反省し、解決・改善して残りのセミナー、イベントを実施するだけではなく、新しいオンラインの可能性を見出すきっかけにしていきたいと考えています。

コロナ禍ということで、大きな軌道修正を余儀なくされる中、2年度目の支部活動は動き始めました。11月のキャリアマンスを迎え、支部の取り組みとして、元々11月末に予定されていた「グループスーパービジョン体験イベント」をキャリアマンスの取り組みとして発信していくこととしました。このイベントは、「ACCN会員限定」で実施します。「スーパービジョン体験イベント」も「会員限定イベント」もいずれも初めての試みです。偶然とはいえ、キャリアマンスの期間に行われるこのイベントを広く発信し、実施していく中でまた多くの気づきが生まれることを期待しています。

アクシデントに立ち向かうのではなく、それを受け止めて活かすために知恵をだすこと、これはキャリコン活動の場面でも同じことが言えると思います。お互いの立場を尊重し、意見を聞き合い、そこで得られた気づきを形にしようとすることが、その先に見える「新たなキャリアコンサルティング」につながってくるのです。

野田 昭生(のだ あきお)

野田 昭生(のだ あきお)

(略歴)
大学卒業後、雇用促進事業団(当時)に就職、中小企業の雇用管理や人材育成の業務等を担当した。同事業団の廃止に伴い、雇用・能力開発機構(当時)に移籍し、キャリアコンサルタント養成の黎明期に同機構が実施した「キャリア・コンサルタント養成講座」の講師及びスタッフを5年間担当した。その後は、同機構の廃止まで「ジョブ・カード講習」の講師を担当した。並行して、職業訓練受講生などを対象にジョブ・カードキャリアコンサルティングを担当した。同機構廃止後、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に移籍し現在に至る。現職は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構鳥取支部 高齢・障害者業務課長。ACCN 中国・四国支部長

(資格)
2級キャリアコンサルティング技能士
国家資格キャリアコンサルタント

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