キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2021年3月号

キャリアコンサルタントとして感じること

この1年、コロナで大変な経験をされた方へお見舞い申し上げます。その支援をしているキャリアコンサルタントの皆様には頭が下がります。どうぞ心も身体もご自愛してください。
また、2月12日の夜に地震がありました。東北にお住まいの会員の皆様、かなり揺れたと思われます。お見舞い申し上げます。福島の仲間から送られた画像をみると心痛み早く元の日常に戻ってもらう事を願うばかりです。

最近は社会現象や自然災害、景気やウイルスで私達の日常があっという間に変わってしまう経験をしました。この経験を少し将来に活かすには・・・と様々な考えや方策が挙がってきたと思います。柔軟な認知、能動的対処、オンラインでの楽しい交流。
ACCN東京支部の勉強会に参加すると皆さまの前向きに進む力を感じました。

<キャリアコンサルタントとの出会い>
キャリアコンサルタントを知らなかった20代前半の私は、世の中では嬉しいと思われることでも自分にとっては辛い出来事がありました。
周りに辛さを理解してもらえる人はおらず、相談すると驚かれ、世の中の常識を説得されることに納得がいかない自分がいました。ホームズとラーエのライフイベントストレスを理解していればもっと楽になれていたのにと思います。
あるカウンセラーとの出会いで自分の感じ考えていることは、それで良いのだよと言われました。
人は人、自分は自分 とお互い尊重し認めあえる関係が築かれ、自分のことを解ってもらえた経験は気持ちに安堵、1人じゃない、存在の承認、心のふれあいの素晴らしさ、ストロークを沢山得られ次の行動の原動力になりました。
エリックバーンの「過去と他人は変えられない、自分と未来は変えられる」という交流分析やアサーションを学ぶことで自分の内面を知ることができました。
キャリアコンサルタントとして約18年となりますが、初心忘るべからず。 自分の心が救われた経験を忘れずにいきたいと思います。

<相談や学びからの気づき>
①メサイアコンプレックス
相談者は、経験したことのない新たな環境や仕事内容、人間関係を築くことに対して「初めて」があります。その環境に「えい!」と一歩踏み出して慣れるまでは「知らない、わからない」という点から不安な感情に繋がると思います。年齢からくる発達課題や、情報不足、時間の使い方、どう見られたいか、スキルに関して、ロールモデルの不在・・・。
キャリアコンサルタントが相談者の課題について、経験からこうした方が良いと解決法を提案してしまうことは「良かれと思って」という一生懸命支援したいという気持ちからくるものと思います。キャリアコンサルタントがこうした方が良いと考えがよぎることは良いと思いますが果たして相談者はどう思っているのか・・・・問いかけが必要ですね。

②相談時の'笑い'について
悩みやストレスを感じている方と相談の時辛い、悲しいという気持ちを言葉や表情で表現できる方には、受容共感の対応ができます。
しかし防衛機制が働き自分を良く見せようという心の動き、自虐ネタで一緒に笑ってもらおう、照れ笑い、自分の都合の良いように加工しようという方も見られます。
コロナで友人と繋がりが持てず寂しいけど、「寂しい」と言葉に出せず笑ってごまかしたり。思いもよらず失業してしまい、この先どう生活したらよいか不安を言葉に出来ず「何かいい仕事ありますか?」と他人事と笑って捉えたり。
相談者が笑いながら話す矛盾した内容をキャリアコンサルタントがミラーリングという見解で一緒になってアハハと笑う、鼻で笑うということがありました。学びの場でオブザーブをしている時に何度か違和感を覚えました。
「今の笑いってどういう意図があったのですか?」と後で確認すると「意識していなかった」「わかってあげようと思って笑った」「わからないから笑ってごまかした」とありました。 悩んでいる相談者と一緒になって笑う行為は馬鹿にされる気持ちや、やっぱりそう思うよねと自己肯定感が下がるのではないかと感じます。相談者の本当の悩みの本質を見逃してしまうような気がしています。
心の防衛を解除するには、キャリアコンサルタントは信頼関係を築くためかかわり行動や傾聴をします。心の防衛が解除されればごまかしていた自分の心にちょっと向き合い'こんな自分がいた'という気づきが生まれ自己概念の成長につながると思います。
キャリアコンサルタントの反応が能面のように無表情ですと相談者は辛くなると思うので'受容する笑み'がベストでは?と日々感じています。私達の表情もとても大切で、相談者に見られているという意識も必要ですね。

相談者が自分自身の人生に向き合うための心理的接触やキャリアコンサルティング。
キャリアコンサルタントが相談者に意図性を持って全集中で向き合うことが第一と思います。
そのために皆さんと共に日々研鑽を重ねていきたいと思います。

藤浦 智子(ふじうら ともこ)

藤浦 智子(ふじうら ともこ)

秋田市出身、夫の転勤のため転職を5度経験。
若年者から高齢者までの失業者、在職中で転職を希望する方、障害者、子育て中の方の相談に従事。
就職活動支援セミナー、キャリアコンサルタント勉強会の企画運営。
ACCN東京支部 運営スタッフ(令和元年、令和2年度)

【保有資格】
1級・2級キャリアコンサルティング技能士
国家資格 キャリアコンサルタント
CDA キャリアデベロップメントアドバイザー
一般社団法人 産業カウンセラー
メンタルヘルス・マネジメントⓇ検定Ⅱ種
交流分析士1級
米国NLP™協会認定プラクティショナー

コラムの感想等はこちらまで(協議会 編集担当)

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