キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2021年7月号

ACCN北海道支部からのメッセージ ~次の一歩を共に~

ACCN北海道支部の活動は3年目を迎えました。

私は運営メンバーとして「キャリアコンサルタントとして成長したい、連携したい、社会で活躍をしたい」という思いを実現するために、学びの場、交流の場を作ることに努めてまいりました。この活動を通して、多くの方々と出会い、有意義な時間を共にさせていただいていることに、心より感謝申し上げます。

この4月から北海道支部長を拝命いたしましたが、今まで以上に強い思いで北海道の皆さんと、さらに全国のキャリアコンサルタントの皆さんと共に、成長してまいりたいと思っています。

改めて、この1年の北海道支部の活動を振りかえると共に、これからの活動についてご紹介させていただきます。(会場は全てオンライン会議システムを使いました)

<2020年北海道支部の活動報告>

① 7月25日 「使える!質的キャリア・アセスメント入門」

秋田県立大学の渡部昌平先生をお招きし、「質的キャリア・アセスメント」のアプローチ手法について学びました。クライエントの語り(ナラティブ)を引き出す質問やワークの体験を通し、自己理解が深まるプロセスを実感するなど、新しい発見がありました。
私は日頃の相談場面で、VPI、レディネステストなど標準化された興味検査を使用しますが、個々の興味・価値観をカテゴリーに当てはめることに違和感を覚えることがありました。結果を伝達する際は、相手の感想や捉え方をお聞きすることを大事にしています。
質的アセスメントは、「語り部(かたりべ)」であるクライエントが主役となり、自らに問いかけます。「5つの人生」「職業カードソード」など数種類のワークでは、自発的な語り(ナラティブ)により、自分だけの価値観を見つけていきます。自分自身の語りから得られた答えは、受け入れやすく、その後の関わりも主体的で前向きなものになります。自己肯定感を高めながら、自己理解を促進していける手法は、若年者支援や迷いや不安を抱えている方などに、大きな効果を発揮すると感じました。更に学びを深め、活用していきたいと思います。

支部としては初めてのオンライン利用となり、資料提供方法やアンケートの取り方など工夫をしながら開催につなげました。渡部先生にスタッフ向けのプレ研修を事前にお願いし、Zoom操作に慣れた上で本番に挑みました。

② 10月3日 「短期療法(ブリーフセラピー)をキャリア支援に活かそう」

昨年度、大好評だった宮城まり子先生の再度のご登壇が実現しました。支部としては過去最多となる約70名が全国各地からオンラインで参加。その関心度の高さに驚かされました。

皆さんは、視野が狭くなり身動きがとれなくなっている方との相談にご苦労されたことはないでしょうか。私は、相手の話を聞いているうちに、気がついたら時間切れという経験があります。短期療法では、さまざまな質問によりクライエントの視野を広げていきます。時には未来にまで視点を広げ、相手の認知に働きかけます。

自身を俯瞰することで、自分と問題を切り離し(外在化)、解決方法を見出していくことができます。

講義後のロールプレイングでは、具体的な質問パターンを練習することで、実践での対応力を身につけていきました。宮城先生の「本人こそが、問題を解決するエキスパートである」という言葉から、キャリアコンサルタントとしての大切な視点をいただきました。参加者からは「今後も更に学習を深めたい」「実践の場で活用していきたい」など、前向きなコメントが多数寄せられました。

「奇跡が起きたとしたら、何をしたいですか?」

「それにより、あなたはどう変わりますか?」

「未来のあなたが、現在のあなたにメッセージを送るとしたら?」

先行きが見えない毎日ですが、こんな問いかけを自分自身に投げかけてみてはどうでしょう? 明るい未来の兆しが見えてくるかもしれません。

③ 2月28日 「キャリアコンサルタントに必要な労働法勉強会」

ACCN九州・沖縄支部前支部長の佐崎和子先生に講義をお願いし、最新の法令や具体的な事例など、相談現場で活かせる情報を惜しみなく提供いただきました。

日頃の業務において、社会環境や価値観の変化が労働者に与える影響を強く感じています。介護や子育て、仕事と治療の両立支援、就職生涯の長期化、コロナ離職など、課題の種類が多様化する中、傾聴やカウンセリングだけで適切な支援をすることが難しくなっています。基本的な法令や事例の知識を持つことは、正しい情報提供や適切なリファーなど、課題解決のサポートを可能にします。日頃のブラッシュアップの必要性を痛感いたしました。佐崎先生には、質疑応答にも丁寧にご対応いただき、最新の知識をアップデートする機会となりました。

また、領域の違うキャリアコンサルタントの方々との意見交換において、法律や事例に対する視点や捉え方の違いを感じました。短時間でもデスカッションを持つことで、視野の広がりを実感することができました。事後アンケートでは、続編を期待する声が多く寄せられました。

<今年度の活動について>

3年目の北海道支部では、キャリアコンサルタントとしての実践力向上、更なるネットワークの拡大を目指し、幅広い研修会・イベントを企画しております。すでに終了している研修会と合わせ、一部を紹介します。

スタートアップイベントとして、5月23日に「外国人と一緒に働く時代を迎えて」をテーマとした研修会を実施しました。外国人雇用の現場に精通される古島典子副支部長に講義をいただきました。幅広い職域・領域間の参加者によるデスカッションは大いに盛り上がりました。

今後の開催イベントとして、8月29日に「キャリコンのお仕事拝見!」と題したZoom交流イベントを予定しています。各方面で活躍されるキャリアコンサルタントのキャリアストーリーを共有し、これからのキャリアビジョンを共に考える機会にしたいと思います。また、9月19日には「宮城まり子先生によるセミナー」(詳細調整中)の開催を予定しています。10月3日、24日には「国重浩一先生によるナラティブアプローチセミナー」を日本キャリア・カウンセリング学会主催、弊支部協賛で開催いたします。

ACCN北海道支部は、今後も社会に必要とされるキャリアコンサルタントの普及を目指し、多くの方々にご参加いただける運営に力を注いでまいります。

皆様の積極的なご参加を心よりお待ちしております。

※今後のイベント等、詳細については、ACCNホームページ、会員メール配信、北海道支部Facebookにてお知らせいたします。

北海道支部Facebookはこちら
https://www.facebook.com/accnhokkaido 

清水 理恵(しみず りえ)

清水 理恵(しみず りえ)

ACCN北海道支部支部長
2級キャリアコンサルタント技能士
国家資格キャリアコンサルタント
公認心理師
産業カウンセラー

大学卒業後、航空会社予約センターの新規立ち上げ事業に従事。研修インストラクター、OJT担当等の経験を経て、約10年間、金融機関カスタマーセンターにてSV・品質管理・人材育成等を担当した。現在は公的機関のキャリアコンサルタントとして約9年間勤務。需給調整分野における早期再就職個別支援、セミナー等を担当。自身の転職経験から、過去の経験を貴重な財産と捉え、プラス資源を共に考えていく姿勢を大事にしている。「人は誰でも自己実現に向かうエネルギーがある」の思いを胸に、企業と人材の橋渡しを行っている。

コラムの感想等はこちらまで(協議会 編集担当)

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