キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2022年10月号

私のキャリアストーリー&資格を活かすこととは

現在フリーランスのキャリアコンサルタントとして、大学や男女共同参画センター、企業などで働いております。大学では就職活動中の学生に応募書類の添削や模擬面接、どのような仕事が合うか分からない、働きたくない、などの相談に加えて就活講座の講師も担当しています。男女共同参画センターでは、現在の仕事を続けるか否か、うつ病による休職の悩み、離婚前に仕事に就きたい、など様々で、充実しながらも「あの問いかけで良かったか」と振り返りと勉強の日々です。

この仕事を始めて9年目ですが、10年前はキャリアコンサルタントとして働くことを想像していませんでした。ですから今回は、私が現在の仕事に就くまでのストーリーと、資格を活かすことについて書こうと思います。

私の職業人生は信用金庫から始まりました。ボーナスが良い点と、お金を扱うっていいかも、くらいの気持ちで新卒入社し、当座預金と内国為替を担当しました。しかし、人と話すことが好きな私にとって数字入力ばかりの日々は耐えられず、結果3年で退職しました。その後は、フーテンの寅さんのような生活です。「とめるな、さくら」な勢いで、思いつくまま展示会やキャンペーンのコンパニオンをしたかと思うと、アメリカでホームステイをしたり、証券会社やロジスティクスなどで働いたりしました。バーのDJをしたこともあります。今思うと、秘書など人との関わりが多い仕事を選んでいますが、長い職場で8年、短いところで3か月、20代30代の私はまさに、風の向くまま気の向くまま、一つの仕事を深めるより、浅く広〜くを楽しんでいました。

しかし、そんな私も結婚・出産を経てさすがに落ち着きました。そして転機が訪れます。出産後に就いた職場が、CDA(キャリアコンサルタントが国家資格になる前)の養成講座を実施していた日本マンパワーで、そこでキャリアカウンセリングに出会いました。

日本マンパワーでは、人のキャリアを応援する仕事だからこそ、自分のキャリアを振り返る機会に繋がりました。「事務職として業務はできるけれど、私はこのままで良いの?」。また、人を支援しながら自己研鑽を怠らないCDAの人達が輝いて見えて、「CDAの勉強をすれば何か変わる?」そんな思いが強まりました。そして、息子の幼稚園入園で一旦専業主婦になるのを機に、養成講座での勉強を決めました。それが10年前のことです。

試験にパスすると、「運転免許をとったら車を運転したい」のように、相談業務をしなければと焦りました。しかし、キャリアコンサルタントとして働きたくても実績がなく、実績がなければ雇われないというループに直面し、「実績がお店で売っていれば」と本気で思いました。「他にも資格があれば良いのか?」と、他の資格を調べることもしましたが、まずは一番手軽なキャリアコンサルタント向け勉強会の参加から始めました。勉強会に参加していると、学びが深まる上に「〇〇の勉強会でも会いましたね」のように顔見知りなどネットワークが広がりました。そしてその中でボランティア情報を得て職業訓練校や、就活生向けのボランティアを経験しました。報酬ゼロで交通費も自腹なことが多いですが、経験を積むために喜んで参加しました。そんな活動を続ける内に、「女性支援に興味あるなら、一度見に来る?」や、「大学案件を持っている知り合いがキャリアコンサルタントを探している」など声を掛けて頂くようになりました。女性支援では自身が子育てで仕事を辞めた経験から女性の働きをサポートする気持ちで、学生にはファーストキャリアを応援するつもりで関わり、一つの仕事を精一杯頑張ると、それが実績となって更にご紹介が増えて、そして今に至っています。

現在、ACCN東京支部の運営メンバーとしてイベントを開催する中で、参加者から「資格の活かし方」の質問を受けることがあります。しかし、そこで改めて疑問が湧きました。そもそも「活かす」とは、どのようなことか。人によって違いがありそうです。有資格者向け求人に応募して採用されることでしょうか。自社の社員の育成でしょうか。資格取得直後の私は「活かす=仕事の相談を受け報酬を得ること」でした。しかし、今はフリーランスなので今年の仕事が来年も続くか分かりません。もし仕事が全てなくなったら、これまで経験したことのない仕事に就くのもありだし(採用されるか分かりませんが)、職場で仲間の相談を受けたり、顧客と接する仕事ならお客様に寄り添えたりするかもしれません。それも今の私にとっては「活かす」の一つだと思えます。これまで出会った人の中には「活かす=キャリアの講師として〇〇〇万円以上稼ぐ」や「活かす=キャリア理論を理解してわが子の成長を見守る」などもありました。今の自分にとって「活かす」とは何か考えてみるのも面白いかもしれませんね。

今回のコラムが、皆さんにとって息抜きや、何かのヒントになれば嬉しいです。

そして、ACCN東京支部では皆さんの活動やネットワークを広げる場として、ウエルカムイベントを中心に年4~5回の勉強会を開催しております。東京支部以外の方も参加できますのでお待ちしております。

田中 美樹子(たなか みきこ)

田中 美樹子(たなか みきこ)

ACCN東京支部副支部長
国家資格キャリアコンサルタント
2級キャリアコンサルティング技能士
CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)、
産業カウンセラー

神奈川在住のフリーランス。大学、男女共同参画センター、職業訓練校、企業などでキャリア相談やセミナー講師として活動している。趣味はタップダンス。

コラムの感想等はこちらまで(協議会 編集担当)

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