キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2023年3月号

キャリアコンサルタントの学びについて思うこと

私は公的需給調整機関にて個別支援担当として約18年間従事しています。個別支援とは、マンツーマン制で、定期的にキャリアコンサルティングを行う仕組みです。私は、この個別支援を通して数多くのクライアントと出会い、厳しい雇用情勢の中、再就職に向かう道のりを伴走するパートナーとして、たくさんの経験をさせていただきました。

〈最近の支援を通し感じていること〉
最近は、個人のキャリア形成の意識が強くなってきていると実感しています。正社員雇用はもちろんのこと、転職や副業、在宅勤務を通じてスキルを身に付け、生涯に渡りキャリアを築きたいと話されるクライアントが増えてきています。
しかしながら、その一方で「キャリアについて考えてこなかった」と話される方も多く、その背景には、根深い問題を抱えるケースがあります。
いくつかの例として、メンタル不調等に思い悩まれながら仕事に就かれている方々。コミュニケーションに不安を抱え離転職を繰り返してしまう方々。持病や難病等を抱えた就労。育児、介護と仕事の両立。高年齢層の働き方の変化。氷河期世代の不安定雇用。最近では、感染症拡大に伴い離転職を余儀なくされた方々等、様々な問題を抱えるクライアントがいます。支援に関わる中で、クライアントの望むワーク・キャリア、ライフ・キャリアを歩んでいただけるように一人ひとりと向き合い、その方にあった支援方法を探っていくことが必要であり、それらを実践するために日々試行錯誤してきました。

〈キャリアコンサルタントとしての学びの継続〉
目まぐるしい労働市場の変化の中、様々な価値観を持つクライアントと向き合う上では、学びが必要不可欠です。その一環として、研修会参加や資格取得にも取り組んできました。

技能士試験では「どのように相談者と向き合い、寄り添っていくのか」自らの課題を見据え取り組むことで、その経験は日々の相談業務に役立っています。受験を通して、キャリアコンサルタントとしての「在り方」とは何かを学び直すきっかけと気づきが得られたと振り返り考えています。

感染症拡大の影響により社会システムが変化したことで、クライアントの不安や悩みはより深く、これまで以上に複雑な問題を抱えた事例も見受けられています。それらを支援していくキャリアコンサルタントにとって事例の検討は必要な学びだと考えています。

私は現在、PCAGIP法による事例検討の学びに取り組んでいます。そのきっかけはACCN北海道支部主催のPCAGIP研修に参加したことです。事例提供者のために安心で安全な場を参加者全員でつくりだす。「安心安全」その言葉の意味を実際に体感できた貴重な経験となりました。それ以来、すっかり魅了され研修に参加し続けています。
今後は、私自身はもちろんですが、地域コミュニティーやまわりのキャリアコンサルタントの皆さまとともに経験していきたい学びのひとつだと考えています。

キャリアコンサルタントには、社会情勢を見据えてクライアントの傍らに寄り添い続けていく役割があります。だからこそ日々の学びを大切にしていく必要があるのだとあらためて感じております。

〈参考文献〉村山正治・中田行重(2012)新しい事例検討法PCAGIP入門―パーソン・センタード・アプローチの視点からー創元社

伊藤 康恵(いとう  やすえ)

伊藤 康恵(いとう やすえ)

【略歴】
人材派遣会社にて、3年間派遣コーディネーターを担当。
その後、公的需給調整機関のキャリコンサルタントとして勤務し現在18年目。
現在は、離職者及び在職者を対象とした早期再就職個別支援、セミナー等を担当。
外部活動として勉強会の主催や後進の指導に携わる。

【資格】
・1級・2級キャリコンサルティング技能士
・国家資格キャリアコンサルタント
・公認心理師
・メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種・Ⅲ種

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