マンスリーコラム
「 自分を動詞で語る 」ということ
わたしは「キャリアコンサルタント」になりたかったわけではありません。
こんな書き出しでは、本コラムの趣旨と合わないではないか!と思われる方もいらっしゃるかもしれません。わたしが2021年の夏に約16年間勤めた大好きだった会社を退職したのは、組織に縛られずにやりたいことがあるからなのです。人事総務部門の一員として社員の「やりたい」というwillとwillをつなぐこと、役員のwillを社員に伝えること、社員間コラボレーションを促進すること、社員の初めての挑戦の背中を押し、サポートすること・・・コロナ禍も同僚たちと知恵を絞り出して行動し続けてきたことは、今でもわたしの誇りです。そしてわたしがやりたいことは、組織を飛び出した今も、実はまったく変わっていないのです。わたしが聴くことで自分の「好き」「得意」「大切にしている価値観」を認識できる人が増え、それを活かしあう関係を創ること、初めての挑戦をする人の背中を押し、サポートをしたい。
「キャリアコンサルタント」という資格はわたしが成し遂げたいことへの近道だったというだけのことなのです。
資格取得後、とある勉強会で「自分を動詞で語る」ということを、おっしゃっている方がいて、心の底から納得したことを覚えています。その方は地元では有数の私立の進学高校の教員をされている方なのですが、親御さんを含む生徒の進路相談(三者面談)でいっさい志望校や目指す職業を聞かないとのことでした。では何を聞いているのかというと、「将来どんなことをしたいのか?どんな経験があってそう思う・感じるのか?」を聞くそうです。ポイントは「何(名詞)になりたいのか?」ではなく「どんなことをしたい(動詞)のか?そしてそれはあなたのどんな経験(=原体験)からそう思うのか?」ということです。まさに肩書や他者からの評価である外発的動機(職業名)ではなく、その人ならではの内面から沸き起こる内発的動機(その人だけのストーリー、原体験)を引き出そうとしているわけです。どちらのモチベーションが長続きするかは、キャリアコンサルタントであれば言わずもがななわけです。
わたし自身、組織を自ら飛び出したものの、何者でもなくなった自分に不安になったことも正直ありました。退職後に「キャリアコンサルタント」という資格を取得して、お恥ずかしながら、肩書を得た気分になりホッとしている自分がいました。
介護職員、公務員、教師、美容師、弁護士、保育士、Webデザイナー、スポーツ選手、農家・・・わたしたちキャリアコンサルタントは日本には2万近くの職業があること、そして何より数年後には今はない職業があるかもしれない時代に生きていることは承知のはずです。「何を目指すのか?」ではなく「どんなことをしたいのか?どうありたいのか?そう考えるようになった自分だけの経験は何か?」というクライアントの想いを引き出すこと、言語化、気付きのサポートをしていくことを改めて自分の使命と感じています。そして何よりも自分自身が「キャリアコンサルタント」という資格・肩書に頼らずに「どうありたいのか?どんなことをしたいのか?それはなぜなのか?」を自分に問い続けていこうと思います。
今朝、久しぶりに見ることができた朝ドラで主役の寅子が「わたしは法律で人々を幸せにしたいのです」と言っているシーンを見て、ひとりテレビに向かって拍手をしたことを報告し、本コラムの締めと致します。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コラムの感想等はこちらまで(協議会 コラム担当)
キャリアコンサルタントのさまざまな活動を応援します!「ACCN」のご案内はこちら