キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2024年10月号

出会いと選択、そして今後

◆出会い
みなさんは「キャリアコンサルタント」という資格や職業を初めて知った(聞いた)のはいつでしょうか。私は大学1年生の時に必修科目として履修した、キャリア教育科目での教授との出会いがきっかけです。

2010年に「大学設置基準・短大設置基準」にてキャリア教育の実施が義務化されました。当時大学生だった私は、授業内でグループワーク等のアクティブ・ラーニングを通じて自分自身について考えたり、理解を深めたりし、ライフキャリアと職業キャリアを考える機会にとてもワクワクしました。加えてキャリア教育プログラムの立ち上げに携わっていた教授と学内アルバイトを通じて関わる機会も多くあり、「こういった資格や仕事(キャリアコンサルタント)があるんだ!」と、とても驚いたのを覚えています。

キャリア教育の授業履修や教授との出会いがなければ、私のキャリアは全く異なるものになっていたかもしれません。私の人生にとって大きな転機となりました。

◆きっかけと選択
大きな転機となった出会いでしたが、大学卒業後はアパレルメーカーに就職し、販売員として勤務していました。私自身のキャリアを客観的に振り返る(キャリア理論で考える)と、新卒の就職活動時は目の前に迫った【就職】というイベントに対してシャインの3つの問いのうち「コアコンピタンス」「価値観」を重視した(優先した)選択をしたのだと思います。自己分析や過去の経験(学生時代の部活動でのマネージャー経験)から、得意なこと・大切にしたいこと・価値観を重視した選択をしました。そのため、販売員として目の前のお客様の要望をヒアリングし、商品やコーディネートを提案することにやりがいを感じていました。

しかし、新卒の就職活動時からのWILLである「若年層のキャリア支援」というビジョンを実現したいと想うようになりました。大学卒業3年後に産業カウンセラー、その次年度に国家資格キャリアコンサルタントの資格取得をし、転職支援のキャリアアドバイザーとしてのキャリアをスタートしました。配属部署は20代~30代、特に第2新卒の転職希望者が対象であったため、想いが叶った瞬間でした。若年層の転職希望者に伴走する中で感じたことは、適切な自己理解と学生時代のキャリア教育の重要性です。転職希望者との面談では、経験やスキルをヒアリングし、人柄や価値観、転職実現のためのプランニング等を一緒にしていました。面談の際に「大学の時にもっと自己分析をしておけばよかった」「キャリアの授業をもっとちゃんと受けておけばよかった」という声を多くききました。転職希望者である20代~30代の方々は学生時代から「キャリア教育」に馴染みはありますが、学生時代の体験(インターンシップ・アルバイト等)や考え方の深さ(自己理解・業界理解)には個人差があるのだと思いました。学生にとって「キャリア教育」は自分を知る機会であり、重要であると認識している一方、目の前に迫った【就職】というイベントに対して「とにかく行動(企業にエントリー、内定獲得する等)しなくてはならない」という認識が強いのだと感じました。

これらの経験から、私の原点である"大学での「キャリア教育」の重要性"を伝えたいと思い、3年前に就職支援担当として大学に入職しました。大学での就職支援では、学生との進路相談に加え、マナー動画の制作やメイクアップ講座、グループディスカッション講座等のイベントの企画や運営等、幅広く経験させていただきました。また、企業の人事担当者様や他大学の学生支援・就職支援担当の職員の方々、障がい者支援や高度外国人材支援に携わっている団体や自治体職員の方々との連携等、様々な専門性を持った方々とより良い支援のために一緒に協働してきました。キャリアコンサルタントになれたことで同じこころざしの仲間と出会うことができ、一緒に学び、自身の成長が実感できる時にやりがいと楽しさを感じます。今後もつながりを大切に、成長し続けたいです。

◆今後
今後のプランのひとつは大学院進学です。
前述のとおり、直近は大学で就職支援に携わっておりましたが、7月からは留学生の生活支援や大学院生の教務・学務担当として学生生活の支援や研究支援をしています。日々研究に励む学生との関わりの中で私自身もより専門性を高め、社会に還元していける存在になりたいと思うようになりました。キャリアコンサルタントのあり方は個々のバックグラウンドや経験、関わる方々によって柔軟に変化できる素敵な職業だと思います。また、キャリアコンサルタント自身が日々自己研鑽、行動し続けることでキャリアコンサルタントとしての「ありたい姿」が見えてくるのだと思います。私は「キャリアコンサルタント」という資格や職業と出会って約15年、資格を取得して約7年になります。根底にある「想い」の部分は大きく変わっていませんが、WILLは変化し続け、現在のキャリアコンサルタント像があります。VUCAの時代、これからも世の中は変化し続け、その度に私たちも変化が求められると思います。今後もキャリアコンサルタントとして自身の軸を持ちながらも変幻自在に、自分らしくキャリアを歩んでいきたいです。

石岡 嗣 (いしおか つぐみ)

石岡 嗣 (いしおか つぐみ)

ACCN東北支部支部長
国家資格キャリアコンサルタント
産業カウンセラー

大学では心理学を専攻。
自らの実体験から「若年層のキャリア支援をしたい」と思い、
産業カウンセラー、国家資格キャリアコンサルタントの資格取得。
人材斡旋事業(エージェント)では20~30代、特に第2新卒の転職支援に携わる。
その後、教育機関(大学)で就職支援担当として進路相談や模擬面接、求人開拓等を行う。
現在は国立大学法人の大学職員(学務・教務担当)として、留学生や大学院生の支援に携わる。

コラムの感想等はこちらまで(協議会 編集担当)

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