キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2025年3月号

偶然の縁が広げた未来

キャリアの岐路に立つとき、誰もが「これで良いのだろうか」と不安になることがあります。私もそんな不安を抱えながら歩んできました。キャリアコンサルタントの資格勉強を始めたとき、クランボルツ博士の「計画的偶発性理論」を知り、私のこれまでのキャリアもまさにその通りだと感じました。

新卒で入社した会社を辞め、「自分に合う仕事が他にもあるのでは?」という思いから派遣社員として働いていたある会社でMさんと出会いました。その縁が、今ここでコラムを書いている私に繋がっています。
私はその後も転職を重ねてIT会社の人事部で若手社員の育成担当となったとき、キャリアコンサルティングに興味を持ち始めました。Mさんと久しぶりに会い、私がキャリアコンサルタントに興味を持っていると話したところ、Mさんがすでにキャリアコンサルタントとして活動していることを知りました。そして、「キャリアコンサルタントの資格を取ってみたら?また一緒に何かできたら楽しいし」と言って背中を押してくれたのです。Mさんとの出会いとこの時の選択が、今の私のキャリアを形作りました。

私が「誰かにとっての偶然の出会い」になれたと感じる瞬間もありました。以前の同僚と食事をしていたとき、私がキャリアコンサルタントの資格を取得したと話したところ、彼女も興味を持っていたことが分かりました。そこから彼女は本格的に資格取得の勉強を始め、無事に資格を取得しました。今ではキャリアについてお互いに相談をし合っています。

計画的偶発性理論は、単なる「運任せ」ではありません。好奇心を持ち、周囲を見渡し、新しいことに挑戦する姿勢が求められます。この理論が重視する「好奇心」「持続性」「柔軟性」「楽観性」「リスクテイク」を意識することで、偶然の出来事をチャンスに変えることができると学びました。それ以降、新しい仕事を任される際には「自分の糧になるかも」と思って積極的に引き受けるようにしています。この積み重ねが、キャリアの幅を広げるうえで大切だと実感しています。

振り返ると、私は何度も転職しキャリアチェンジを重ねてきました。決して直線的な道のりではありませんでしたが、寄り道や出会いがかけがえのない経験を与えてくれたと感じています。今は人事の仕事を通じて、さまざまな人と向き合い、その人が本来持っている力を引き出す支援ができることにやりがいを感じています。まだまだ学ぶことは多いですが、今後もキャリアの可能性を広げられるよう努力していきたいと思っています。
人生は、思いがけない出会いや経験で大きく変わることがあります。一見遠回りに見える道が、実は自分らしいキャリアをつくる要素になることも少なくありません。重要なのは、偶然の機会に心を開いておく姿勢です。計画通りにいかないときでも、そこから新しい可能性を見出すことで、キャリアの新たな一歩が踏み出せるのだと思います。

金子 美保子(かねこ みほこ)

金子 美保子(かねこ みほこ)

ACCN東京支部 運営メンバー
国家資格キャリアコンサルタント

大学卒業後、IT企業に入社し、システムエンジニアとして勤務。派遣社員を経て、人事へキャリアチェンジしました。労務、採用、社員育成など幅広い業務に携わり、現在は働きがいの向上や健康経営の推進にも注力しています。

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