キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2026年4月号

言葉の裏に広がる潜在意識の世界

みなさん、はじめまして!私は普段、コーチングとキャリアコンサルティングの仕事に従事しています。今回はその実践の中で、私が大切にしている視点のひとつである「言葉の裏に広がる潜在意識の世界」について、私見を共有させていただきます。

みなさんは普段、何気なく使っている言葉の中で、その言葉と一緒に、特定の意味や感情をセットで抱いていることはありませんか?

例えば「ありのままの自分」という言葉。
この言葉を口にするとき、多くの人は「ありのままの自分"の方が良い"」「ありのままの自分"でなければいけない"」といった、ある種の価値観やプレッシャーを、無意識のうちに紐づけていることがあります。
また「劣等感」という言葉もそうです。
「劣等感は"手放すべきものだ"」それなのに「劣等感を"持っている自分は未熟だ"」、そんな意味を重ねてしまい、結果として「劣等感という言葉で劣等感を再生産している」という状態になっている方も少なくありません。
もう一つ、分かりやすい例を挙げると「お金」です。
お金という言葉を聞いて思い浮かぶイメージは、「希望・豊か・キラキラ・約束・未来...」というポジティブなものから、「怖い・汚い・ドロドロ・裏切り・破滅...」といったネガティブなものまで、人によって実にさまざまです。

つまり私たちは、言葉に対して、言葉そのものの意味とは別に、自分なりの意味や感情を重ねているのではないでしょうか。そしてその意味づけは、時代背景、社会構造による価値観、そして何よりも個人の経験によって形づくられています。
さらに興味深いのは、その意味づけが固定されたものではないということです。同じ言葉でも、人生のフェーズが変われば意味が変わります。同じ人でも、1時間の面談の中で有機的に意味が変化していくことすらあります。
だからこそ私たち対人支援者は、相談者(CL)が経験を語る際に使う言葉を単なる情報として受け取るのではなく、「この言葉に、CLはどんな意味を重ねているのだろうか」、「その意味は、どんな経験や自己概念から生まれているのだろうか」そんな問いを、常に心のどこかに置いておく必要があるのではないかと思います。

実は、ここまで書いてきた考えの多くは、私の恩師からいただいた言葉を参考にしています。
その恩師は常々、「言葉の裏には宇宙が広がっている」と語っています。少し大げさに(思想的に)に聞こえるかもしれません(笑)。しかし対人支援の現場に立っていると、この言葉の意味を実感する瞬間が何度もあります。
一つひとつの言葉は、単独で存在しているわけではありません。誰かが意味を与え、経験を重ね、感情を乗せ、社会が思想を添えることで、それぞれが星の数ほどの意味を抱えながら存在しているのではないでしょうか。
そう考えると言葉はとても奥深く、そんな言葉を扱う対話の仕事に、誇りや面白さ、可能性を私は感じます。

CLの話を聴くときだけではなく、自分が言葉を発するときにも、「私はこの言葉にどんな意味や感情を乗せているのだろうか」と少し立ち止まってみると、同じ言葉でも、そこに宿る意味の深さは少し変わって見えてくるかもしれません。

当たり前のことのようでいて、実はとても奥行きのある「言葉の裏の潜在意識の世界」。経験に対する意味付けだけでなく、言葉に対する意味付けも観察するこの視点が、日々の対話の中で何か小さなヒントになれば幸いです。

柴田 真(しばた しん)

柴田 真(しばた しん)

ACCN九州・沖縄支部 運営メンバー
国家資格キャリアコンサルタント
キャリアコンサルティング 2級技能士
                          
新卒で上場製造業に入社後、人事領域に約10年間従事し、HRBPとして採用・人材育成・評価・労務・エンゲージメントなど幅広い人事領域を担当。拠点の人事総務責任者として経営層と連携しながら人事KPI管理や人材育成、組織課題の解決にも取り組んだ。
現在はフリーランスとして、マインドコーチング、企業の外部キャリアコンサルタント、人事総務コンサルティングなどを通じて、対話を通じた個人の可能性の発見と組織開発の支援を行っている。

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