キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2025年8月号

【 キャリなに? 】#2 キャリアコンサルタントになるということ


尊敬するカウンセラーから言われて、今も大切にしている言葉があります。

「カウンセラーは『なる』ものではなくて、カウンセラーという『生き方を選ぶこと』なんだよね」

その先生の、俳優をされている妹さんから、役を演じるとは、その人になり切るのではなく、その人の人生を『生きる』ことなんだと言われたそうです。その時、カウンセラーも同じだなと思ったと話されていました。「やり方より在り方が重要」「今の自分に知識と技術、資格を付け足すのではなく、今の自分が丸ごと変わること」「カウンセラーを演じるのではなく、カウンセラーとして振る舞うこと」そんな深い意味が込められていると感じます。

キャリアコンサルタントもまた、同じかもしれません。キャリアコンサルタントの皆さんは、その生き方を選んだ人たちなのだと思います。これは、日常生活においても常にキャリアコンサルタントであれ、というのとは少し違います。家庭においては父や母であったり、夫や妻であったりしますし、職場、地域など様々な場面でそれにふさわしい役割、性格を持っています。ただ、キャリアコンサルタントとしての場面では、思考、感情、言葉が自らの本心、奥底から自然にあふれてくるというイメージです。

これからキャリアコンサルタントを目指す人には、イメージしにくいかもしれません。多くの人にとってキャリアコンサルタントになることは、国家資格を取得することであるでしょう。それを実現させるためには、国家試験に合格して、そのために養成講座を受講して、試験場面の練習をして、学科試験問題を学んで、試験情報を集めて対策をすることがキャリアコンサルタントになることと考えるのは自然なことだと言えます。養成講座を選ぶ時も合格率や受講費用は重要な点になるはずです。

しかし、養成講座を受講したとたんに、そうではなかったことに気づかされたというお話を聞きました。基本姿勢や関係構築は決められた型があるわけではない、傾聴は単なる表面的な技術だけではないなど、教えられたこと一つ一つは合格のためのノウハウではなくて、自分の中身がキャリアコンサルタントになることだ、そうなれば自然に合格するという話を聞いて、講座が終わるころには考え方が変わりました、とのことでした。それまでは傾聴することではなくて、「傾聴しているふりが上手にできるような練習をしていた」と恥ずかしそうにされていました。キャリアコンサルタントとして必要な知識よりも試験に出るかどうかで勉強する内容を選んだりもしていたそうです。知識を付け加えることだけでなく、今まで当たり前に思っていた自分の癖を一枚一枚はがしていくような感覚もありましたと話してくださいました。

キャリアコンサルタントを志す動機は人それぞれです。最初の動機にかかわらず、国家資格を持つということはキャリアコンサルタントと名乗る資格を得るということを意味しています。それは同時に、「私はキャリアコンサルタントという生き方を選びました」という宣言でもあるのです。相談者の力になれるか自信はないという人もぜひ全身全霊を傾けて相談者の話を聴いてください。国家資格を取得することの意義はまさにそこにあります。

#コラム「キャリアコンサルタントって何をする人?」#2

❖ 「キャリアコンサルティング、キャリアコンサルタント」のことをもう一度考えてみるコラム「キャリアコンサルタントって何をする人?」(キャリなに?)は毎月15日に公開されます

キャリアのことをいろいろなテーマで「ゆるやか」に考えたコラム「ゆるキャリ」(全12回)のバックナンバーも併せてお読みください こちら

石崎 一記(いしざき かずき)

石崎 一記(いしざき かずき)

1958年7月埼玉県生まれ

1級キャリアコンサルティング技能士
カウンセリングルーム「ウサギのはらっぱ」主宰
埼玉県スクールカウンセラー
前東京成徳大学応用心理学部教授

平成14年度より23年度まで、厚生労働省キャリアコンサルティング研究会委員、同研究会各種部会座長等を歴任。
発達心理学の視点から、働く人の伴走者として幸せづくりのお手伝いをすることに取り組んでいる。
What a Wonderful Worldの世界の実現がライフワーク。

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