キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2026年5月号

【 キャリなに? 】#10
スーパービジョンを受けると元気になります

キャリアコンサルタントの成長は、①ケースを担当すること、②スーパービジョンで指導を受けて、自分の良いところや成長のための課題に気づくこと、③研修や更新講習を受講して課題を解決していくこと、この①~③のサイクルを繰り返していくことで果たされていくと考えられています。今までの記事にあるような事項について、スーパービジョンの場面で指導してもらった人も多いと思います。

スーパービジョンについて、協議会のHPには「事例指導とは、相談者へのより良い支援と、事例相談者のキャリアコンサルタントとしての成長を目的に、事例相談者の担当する事例を通して指導を行うものです。具体的には、相談者に対する面談過程、事例の見立てや対応の方針、組織への働きかけ、リファーやコンサルテーション、事例相談者に不足する態度、役割意識、知識やスキル等について、気づきを促し情報提供や助言を行うことです。」と示されています。1級技能検定を検討する際、指導レベルの議論の中で、様々な立場や考え方による混乱を避けるために、スーパービジョンという用語を使わずに、事例指導という用語で議論を進めたという経緯があります。今後さらに研究が進んでいって、キャリアコンサルティングにおけるスーパービジョンについての理解が深まっていくことが期待されます。現在のところ、事例指導(スーパービジョン)、事例指導者(スーパーバイザー)、事例相談者(スーパーバイジー)は、それぞれほぼ同じ意味で用いられています。

以前、「スーパービジョンを受けるには、自ら『俎板の鯉』になる覚悟が必要」とか、「スーパービジョンは泣かせてなんぼ」といったぶっそうな考えを耳にしたことがあります。確かにかつて、カウンセラーに対してそういったスーパービジョンが行われていた時代があったようです。指導の際に不足やできないところを指摘して、なぜそうしたのか、それがいかに間違えているかを強く指導するのがスーパービジョンであるという考えがあったのでしょう。キャリアコンサルティングにおけるスーパービジョンはそうではないものにしていきたいと思っています。なぜなら、スーパービジョンの過程で、スーパーバイザーはスーパーバイジーに対してキャリアコンサルティングでのふるまいの見本を示す(モデリング)効果があるからです。基本姿勢、関係構築について、言葉で説明するだけでなく、見本を示すことで伝わっていきます。そのために、スーパーバイザー自身が豊富なケースについての優れた経験を持っていることが求められているわけです。

スーパーバイザーはスーパーバイジーから相談者の困っていることやその理由をどう考えたかを聴いて、できていること、優れている点を指摘します。褒めるというより、しっかりと認めるといった感じです。さらに、そこで生じた違和感や疑問を手掛かりに指導目標を共有します。具体的には、次のようなことがよくあります。

1.「相談者の言動」と「スーパーバイジーのとらえ方」とが異なる
2.スーパーバイジーが「どうとらえたか」と「進め方」とが異なる
3.キャリアコンサルティングやその過程、キャリアコンサルタントの役割などの考え方に誤解がある
4.理論的知見と矛盾する、合理性に欠ける
5.その他スーパーバイジーが誤解している、知らない、できない点がある

こういったことが根拠となって指導の目標や課題が共有されます。「私ならこうする」とか、「もしかしたらこうかもしれない」といった根拠のない指導はありません。それでいろいろな気づきが得られるわけです。

相談を受けていないとスーパービジョンは受けられません。相談を受けていても外部に持ち出せない場合も少なくありません。そのような場合、知り合いにお願いするときも、ご自身の本当の相談の方がいいようです。シナリオロールプレイでは、どこかで矛盾やぼんやりした点がでたり、言い方、やり方に目が向いてしまったりといったことが起こりがちです。

どこで受けられるかわからないという話もよく耳にします。1級技能士の数や地域の偏りが関係しているようですが、指導できるキャリアコンサルタントも増えてきていますし、リモートでのスーパービジョンも一般的になってきています。以前より探しやすくなっているはずです。ACCNなどで紹介してもらうことも可能です。研修会で出会った受講者や指導者の方に勇気を出して声を掛けたら、驚くほどあっさり引き受けてもらえた、という方も少なくないようです。

相談者はキャリアコンサルティングを受けて元気になります。一方で、キャリアコンサルタントはあれで良かったのかなとくよくよします。キャリアコンサルタントはスーパービジョンを受けて元気になります。スーパーバイザーはあれで良かったかなと考えますが、自分で振り返って元気を取り戻します。

スーパービジョンを受けることは、相談者に対する誠実さのあらわれです。まだ受けていない人はぜひ受けてみてください。

#コラム「キャリアコンサルタントって何をする人?」#10

❖ 「キャリアコンサルティング、キャリアコンサルタント」のことをもう一度考えてみるコラム「キャリアコンサルタントって何をする人?」(キャリなに?)は毎月15日に公開されます

キャリアのことをいろいろなテーマで「ゆるやか」に考えたコラム「ゆるキャリ」(全12回)のバックナンバーも併せてお読みください こちら

石崎 一記(いしざき かずき)

石崎 一記(いしざき かずき)

1958年7月埼玉県生まれ

1級キャリアコンサルティング技能士
カウンセリングルーム「ウサギのはらっぱ」主宰
埼玉県スクールカウンセラー
前東京成徳大学応用心理学部教授

平成14年度より23年度まで、厚生労働省キャリアコンサルティング研究会委員、同研究会各種部会座長等を歴任。
発達心理学の視点から、働く人の伴走者として幸せづくりのお手伝いをすることに取り組んでいる。
What a Wonderful Worldの世界の実現がライフワーク。

コラムの感想等はこちらまで(協議会 コラム担当)

キャリアコンサルタントのさまざまな活動を応援します!「ACCN」のご案内はこちら


マンスリーコラム一覧へ戻る