キャリアコンサルティング協議会は国家資格「キャリアコンサルタント」の試験機関および指定登録機関と、国家検定「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」の指定試験機関です。

マンスリーコラム

2026年5月号

企業と新人キャリアコンサルタントの「あいだ」に立つ ― ACCNテーブル「チームIchiban」が紡ぐ支援の形 -

【はじめに:資格取得後の「五里霧中」をなくしたい】 
キャリアコンサルタントの登録証が手元に届いたときの喜びは、一生の宝物です。しかし、その高揚感が冷めやらぬうちに、多くの人が一つの壁にぶつかります。「さて、明日から職場でどう動けばいいのだろう?」という戸惑いです。
一方で、企業側もまた測りかねています。「キャリアコンサルティングが大事なのはわかるが、具体的に何をしてくれるのか? 経営にどう役立つのか?」。
2019年のACCNの設立総会で、私はこの「期待と不安のズレ」を目の当たりにし、テーブル活動が始まった際、「ここだ」と思いました。支援したいけれど動けないキャリアコンサルタントと、活用の仕方がわからない企業。この両者の間に横たわる溝を埋めること。それこそが、第1号チームとして活動を始めた私たち「チームIchiban」の原点でした。

【理論を実践の武器へ:共通言語としての「CCMI」】 
私たちが最初に取り組んだのは、キャリアコンサルタントが単なる「個人の相談役」に留まらず、経営課題に踏み込むための武器を持つことでした。そこでIT業界の組織評価モデルをヒントに、独自に開発したのが「CCMI(キャリアコンサルティング成熟度モデル)」です。(詳しい論文は こちら
これは、職業能力開発促進法の指針に基づき、企業のキャリアコンサルティングレベルを5段階で可視化するものです。過去の研究で十数社を調査しましたが、多くの企業が「制度はあるが運用が追いつかない」段階にあることが見えてきました。このモデルがあれば、経営者に対して「御社の現在はレベル1ですが、次はここを目指しませんか」と、論理的な提案が可能になります。学術的な理論を、現場で使える「共通言語」へと翻訳すること。それが、キャリアコンサルタントが企業と対等に話すための第一歩となります。

【私が本当に伝えたいこと:「あいだ」に立つ勇気】 
しかし、ツールがあればすべてが解決するわけではありません。私がこの6年間の活動を通じて、今、皆さんに一番お伝えしたいのは、「企業と新人キャリアコンサルタントの『あいだ』に立つ存在がいかに重要か」ということです。資格を取ったばかりの方は、情報の海に一人で放り出されたような不安を抱えています。一方で、企業という組織には独自の論理があり、個人の情熱だけでは太刀打ちできない壁もあります。この両者の「あいだ」に立ち、企業の言葉をキャリアコンサルタントに翻訳し、キャリアコンサルタントの不安を企業の期待へと繋ぎ直す。この泥臭い「橋渡し」こそが、今、この業界に最も求められている役割ではないでしょうか。
私たちが運営するコミュニティ「TIC(Team Ichiban Community)」は、単なる勉強会ではありません。企業内で孤軍奮闘し、「自分の関わりはこれでいいのか」と確信を持てずにいる仲間が、鎧を脱いで悩みを共有できる場です。
「理論通りにいかない」のは、あなたが未熟だからではありません。企業と個人の「あいだ」で必死に格闘している証拠です。その格闘こそが、プロとしての専門性を育てます。私たちは、そのプロセスを一人にさせないために、これまでの知見や仲間をすべてオープンにしています。

【おわりに:共に「うねり」を作ろう】 
テーブル活動が40チームを超えた今、改めて強く思います。小さなテーブルでの一歩であっても、継続し、発信し続けることで、それは必ず業界全体の「うねり」になります。
「自分に何ができるだろうか」と悩んでいる皆さん、どうか一人で抱え込まないでください。私たちはこれからも、企業とキャリアコンサルタントの「あいだ」を走り続け、皆さんの伴走者であり続けます。共に悩み、共に学びながら、企業領域の未来をこの現場から一緒に作っていきましょう。

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< お知らせ >
テーブル「チームIchiban」では、5月18日(月)にオンラインで勉強会を開催します。
今回のテーマは、「企業内の女性のキャリアコンサルタントの役割と課題について~女性キャリアコンサルタントのポジションの見つけ方~」 です。
ACCN会員でなくても参加できます。ぜひお気軽にご参加ください。

● 無料イベント: 【テーブル01】 企業領域でのキャリアコンサルタント資格の活かし方の雑談会2026年5月度(31回目)のお知らせ こちら

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ACCNのテーブル活動について詳しくお知りになりたい方は、以下もご覧ください

●「テーブルって何?」テーブルフェス2025 開催レポート(2025.11)  こちら
●「生きる」をサポートすること、そしてACCNテーブル活動への誘い(2023.5)  こちら

大木 孝(おおき たかし)

大木 孝(おおき たかし)

ACCNテーブル チームIchibanのリーダー
国家資格キャリアコンサルタント
キャリアコンサルティング 2級技能士
37年間の外資系IT企業経験の中で、事業部内キャリア相談室長を歴任。現在は会社員とフリーランスのキャリアコンサルタントを両立するパラレルワーカーとして活動中。企業領域での普及を目指し、独自の成熟度モデル「CCMI」の策定や、支援コミュニティ「TIC」の運営を牽引。現場の実践知と、組織と個人を繋ぐ「あいだ」の役割を大切にしている。

コラムの感想等はこちらまで(協議会 コラム担当)

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